OPERAフィルムでロックミューオン検出成功

OPERA検出器に並べられたフィルムの中でロックミューオンが貫通したと見られるものを解析した結果(2006/08/18の記事参照)、その飛跡を実際に確認しました。OPERAフィルムはそれ自体がいくつもの記録層を持った光学ディスク(例えばDVD)のようなものであり、一組のフィルムから読み出される飛跡候補は約一億本、情報量にして約20GBにのぼります。この中から様々な方法で選別をかけ、顕微鏡での肉眼確認を経て最終的にたった一本の飛跡に辿りつきました。

3階建てビルに相当する巨大な実験装置の中から顕微鏡視野サイズにまで照準を絞り込む工程は、OPERA実験全体の中でも技術的な難所であるといわれてきました。今回の飛跡検出成功により、OPERA実験本番に向けての重要な一歩が踏み出されたといえます。


OPERA検出器に向けニュートリノビーム照射開始

イタリアとスイスの国境に位置するCERN(欧州原子核研究機構)の加速器から、OPERA検出器が設置されているグランサッソ地下研究所に向けてニュートリノビームの照射が開始されました。OPERA検出器の電気計測器系では、ニュートリノが岩盤中で反応して発生したミュー粒子(ロックミューオン)が観測され、730kmの距離を経てニュートリノが到着している事が確認されました。

現在OPERA検出器には試験的に600枚のOPERAフィルムが並べられており、そのうちの何枚かにはロックミューオンの飛跡が記録されているとみられています。これらのフィルムを名古屋に持ち帰り解析し、9月の上旬までにロックミューオン飛跡の検出を目指します。

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