拡散霧箱を組み立てて、宇宙線や放射線の観察をしましょう。
(1)霧箱を動作させる
① 霧箱内にエタノールを底の植毛紙が完全に隠れるほどの深さまで入れる。(約5mmの深さ)そして、脱脂綿のリングを液につけて、エタノールをジャブジャブに含ませる。含ませた脱脂綿のリングを、霧箱上面にセットする。
② ポリラップをしわのよらないようにぴんと伸ばして霧箱上面に張り、ゴムバンドで止めておく。
③ 直流電源の出力端子にコネクターをつないでLEDが点灯することを確認する。
④ ドライアイスを発泡スチロールの箱の中に入れ、その上に霧箱をセットし、発泡スチロール箱、霧箱を一体にゴムバンド(2本)をかけて霧箱本体とドライアイスが密着するようにする。
⑤ 観察はLED側から観察する。(逆のほうからはLEDの光にマスクされて飛跡が見えない。)
⑥ 10分ほどしたら、霧が落ちて宇宙線の飛跡が見えるようになる。
(2)観察、実験
[1] 宇宙線や自然界に存在する放射線の作る飛行機雲様の飛跡が見えるまで待ちましょう。飛行機雲様の飛跡が安定して見え始めたら、
(1) 飛跡の観察をしましょう。どんな形のものがあるでしょうか、また飛跡の濃さはどうでしょうか?
(2) 飛跡の形、長さ、飛来方向、1分間に出来る本数などを計測してみるのも面白いですね。
(3) どうして放射線源がないのに、たくさんの飛跡が見えるのでしょうか。その線源はいったいどこにあるのでしょうか、不思議ですね。
[2] α線、β線の観察
放射性元素から放出される放射線は3種類あります。α線、β線、γ線です。しかし、γ線は霧箱では見えません。
キャンプなどで使用する照明用ガスランタンのホヤとして使用されるマントルには、輝度を増すために、酸化トリウムを含むものがあります。
自然界に存在するトリウム232は半減期が約141億年と、宇宙の年齢とほとんど変わらないくらいの寿命で崩壊してα線を出してラジウム228になります。そしてこのラジウムは半減期6.7年でβ線を出してアクチニウム228に、アクチニウム228は半減期6.13時間でβ崩壊してトリウム228に崩壊していきます。この崩壊の系列がトリウム崩壊系列です。
最後は鉛の安定核になります。