原子核乾板

我々の実験では、主な検出器に原子核乾板を用いています。

原子核乾板とは古くから素粒子実験に使われて来た検出器で、写真フィルムの 一種です。

写真である以上、撮影し、現像して映しだすというしくみに変わりはありませんが、ターゲットが素粒子であるため通常の写真フィルムとは違った性能が要求されます。

写真フィルムと原子核乾板

光や荷電粒子がAgBr結晶に当たると、結晶中に潜像核という非常に小さな銀の塊が発生します。
このフィルム現像処理すると、潜像核が成長し大きな塊になります。
写真フィルムでは、光の多寡によりこれが濃い・薄いという色調になり、対して原子核乾板では、荷電粒子が通った跡が点々とした線として見えます。

<顕微鏡で見た原子核乾板>

同じ仕組ながらも捉える物が異なるため、写真フィルムと原子核乾板は異なった調整がなされています。
例えば通常の写真フィルムは、より感度よく光を捉えるために粒子が平たく円盤状になっています。
原子核乾板は、素粒子の飛跡をより正確に捉えるために粒子が小さく、均等な球形で、より高密度になるように作られています。

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