研究の目的・概要 |
| 反ニュートリノと原子核の散乱によるチャームクォークを含むペンタクォークΘc0の検出の為の基礎研究を行う。 中性のペンタクォークΘc0(uuddc_bar)が弱崩壊した場合、陽子を含む特徴的な崩壊が見込まれる。 崩壊のトポロジーを正確に押さえる事、崩壊粒子がバリオンである事を決定付ける陽子同定、 および反チャームクォークを含む事を横向き運動量(Pt)により同定する。 この3条件でΘc0 の同定を行う事を考えている。実際には、鉛と原子核乾板のサンドイッチ構造の Emulsion Cloud Chamber (ECC)を用いる事でΘc0粒子同定実験を実現する。 本研究課題は反ニュートリノによるペンタクォークΘc0 生成の実験に向けて、 Θc0 の同定性能を実際のニュートリノ反応(OPERA実験、PEANUT実験)を用いて実証する事である。 |
平成22年度:研究の進捗と成果 |
| 我々は、反ニュートリノ(νμ)の荷電カレント反応で生成された反チャームクォークが飛び出し、
ハドロン化時にペンタクォークΘc0(uuddc_bar)状態になる事を期待している。
このとき反チャームクォークがソフトに放出されるほどΘc0状態になりやすいと想定している。
そこで何とかチャームが生成される程度のエネルギー(3-10 GeV/c)のニュートリノ反応をECC中に
エネルギーのバイアス無く検出する事が重要である。エネルギーが低くなるとニュートリノ反応の2次粒子数も
少なくなり、1本しか出ていないもの(QE反応)も多くなる。
Θc0 がQE様の反応で生成された時はニュートリノ反応点からはμのみで
中性粒子が近くで偶数本の荷電粒子に崩壊しているように見えるはずである。
QE反応の場合のように1本の飛跡の情報だけではニュートリノ反応点の位置を正確に決める事ができない。
そこで、特にQE様のニュートリノ反応点の位置を正確に決める為に
ニュートリノ反応を起こした原子核から放出された低エネルギー(10〜30MeV 程度)の陽子等の蒸発粒子(その飛跡の濃さからブラックと呼ぶ)
が何本放出されているか、また反応点位置の決定能力をOPERA実験で検出されたニュートリノ反応、約600反応を用いて分析した。
この分析で角度0.6radまでのブラックを検出する事で約25%のニュートリノ反応でブラックが生成され
反応点の位置決めに有効である事がわかり、日本物理学会 2010年秋季大会で報告した。
ブラックの探索角度範囲を 1.rad 程度まで広める事によりブラックを1本以上検出できる
ニュートリノ反応の割合は50%以上を見込める(現在、データ分析中)。
QE 反応のようにニュートリノ反応点からの高エネルギー粒子が1本しかなくてもブラックを検出する事により
反応点の位置決定精度はブラックの鉛による電磁散乱の約50ミクロンで保証できる。
つまりΘc0(uuddc_bar)がQE様反応で生成された場合でも崩壊長の測定が充分出来る事を示した。 現在は、ブラックの大角度探索データの統計を増やしつつ、ニュートリノ反応の2次粒子(数100MeV/c〜1GeV/c)の陽子同定解析を行っている。 |
![]() |
![]() |
| 図1:反応点からのブラック飛跡 図の中心から放射状に出ている濃い飛跡。 視野サイズは 約 300μmX200μm。 |
図2:反応点に対するブラックのIP 赤丸がIP、横軸に反応点の鉛中での深さを示す。 深いほど電磁散乱でIPが大きくなる。 |
学会・国際会議講演:
|