β線の飛跡を磁場で曲げてみよう

(1) ネオジム磁石を霧箱のピンホール開きのアルミホイルとラップの間にセットする。
(2) 植毛紙が底面エタノール液から飛び出たときは隠れるまでエタノール液を追加する。
(3) 磁場の方向がわかるように、上になっている磁極がN極か、S極かを調べておく。
(4) 霧箱の側面(手前、横など)に放射線源のランタンのマントル(袋に入ったまま使用する)を置き、霧箱の側面からβ線を照射する。
(5) β線の飛跡はどのように見えますか?
(6) よく観察するとβ線はその進行方向を曲げられていることが解かります。これは磁場によるローレンツ力を受けているからです。その曲がる方向から、β線の電荷の正、負がわかりますね。電荷は+でしょうか-でしょうか?

[発展実験]
* 曲がりの半径が求まると、ローレンツ力よりβ線の速度がわかります。速度を求めてみましょう。
① 写真にとって、半径を求めます。(長さは透明なものさしを霧箱のエタノール液中にあらかじめ入れておき、比較します。)
② 霧箱を取り除いて、観測した飛跡近辺の磁場の強さをガウスメータで測定します。
③ 計算しましょう(光速度を超える値が出ることがあります。そのときはどのように考えたらよいでしょうか)

[計算方法]
β線は高速度で動く電子線なので、磁場中を進むとローレンツ力を受けます。磁場に対して直角にβ線が入射した場合、β線の受ける力は、磁場をB [T](テスラ)、電子の速度をv[m/s]、素電荷をe[C](\approx 1.6 \times 10^{-19}[C])とすると力の大きさは高感度霧箱 数式2 [N]で、力の方向は磁場、進行方向に対して双方に直角方向になります。(注、電子の電荷が-なのでフレミングの左手の法則の電流の向きがβ線の進行方向と逆になります。)進行方向に直角な力によってβ線は円運動になります。円運動の半径を高感度霧箱 数式3 [m]とするとβ線の速度v[m/s]は [m/s]となり、r[m]とB[T]が求まればv[m/s]が求まります。(注、電子の速さが光速度に近づくと電子の質量が一定という概念が崩れます)

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