写真乳剤開発

写真乳剤((以下)乳剤)とは、ゼラチン中に感光物質である銀塩の結晶が分散しているゲル状の素材のことで、これをプラスチックフィルムに塗布して乾燥させれば写真フィルムになります。(※写真技術の習慣で乳剤と呼びますが、厳密には化学分野の乳剤の定義とは異なります。)


左:未塗布・常温の乳剤、数cmの塊 右:乳剤に含まれる臭化銀結晶の電子顕微鏡写真。結晶の粒子径200nm程度

当研究室では、2010年より乳剤製造装置を導入し乳剤の開発を行っています。


乳剤製造装置

既存の原子核乾板開発はすべて企業主体で行われており、
このように物理学研究者自身の手で直接原子核乾板を開発できる環境は世界的にみても当研究室だけです。

乳剤製造装置の導入により、素材や薬品の選択から乳剤の製造・原子核乾板の作成、そして実際の実験と、必要とされる全ての工程を研究室の中で行えるようになりました。
これによって、実験からの要求を即座に開発に反映でき、スピーディーな乳剤開発ができます。
既存乳剤では不可能な新しい実験に向けて、特に超高感度化タイプと超微粒子化タイプの乳剤を開発中です。

超高感度化タイプ
超高感度化タイプ

超微粒子タイプ
超微粒子タイプ

2011年現在いつくかの革新的な性能の乳剤の開発に成功しており、幾つかは素粒子実験の枠に留まらず、放射線計測など他の研究分野でも使用され始めています。

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